編集後記

 富士総合火力演習を見に行くようになって何年になるのだろう。正確な記憶も資料もない。演習場に近いということで、どこかしらから入場券が手にはいり主人に連れられて見に行った。あまり興味もなく、ただ、青い空から空挺隊員が降りてくる様子が気持よさそうに見え、その翌年も見に行くことにした。今年高校生になった長女に
「総火演で何が一番好き?」
と、聞くと
「空挺」
と答えた。やはり私の娘だからなんだろうか。と思う。
 夜間演習は、打ち上げてはお休みの入るローカルな花火大会よりもずっと迫力があって綺麗だな〜と思っていた。そんな私に似たのか中学生の次女は夜間演習派だ。
 興味を持って見に行くようになってからは、写真を撮るのに忙しかった。写真が趣味という訳ではない。とにかく撮って、家で装備年鑑と見比べて名前を覚えようというのだ。
 けれども、数字の苦手なわたしは73式とか120ミリなどという数字が付く名前の装備は中々覚えられない。そのくせに、本から覚えた知識というのは変なもので、チヌークというよりもCH-47と言ったほうがピンとくる。頭が堅いのだろう。結局は、数字の付いた名前もニックネームも覚えられずに今に至っている。
 そんなわたしが、今回は取材ということで見させていただいた。
これは今までのようなお祭り気分ではいけないな、しっかり見させていただかなくては。と思い、できる限り会場に行かなかったかたにもわかるようにとレポートを作ったつもりだ。
 会場では大型スクリーンでビデオが放映され、演習の説明が逐次アナウンスされる。 一般の人にわかりやすく説明されているのだが、耳慣れない戦闘用語というのだろうか、日常生活では聞いたことのないような言葉もでてくる。このレポートの中で漢字の誤り、聞き取りの誤りがありましたらお知らせください。
 このレポートを作るにあたって演習を何回も復習してみた。
海に囲まれた日本が侵攻された場合は、まず、航空自衛隊と海上自衛隊とが阻止する。攻撃3に対して防禦は1の武力で足りるのだと以前聞いたが、侵略するためには弱いところ、時期に対してたくさんの武力を持ってくるのだろう。そうであれば海や空での阻止を逃れるものもあるだろう。その時、陸上自衛隊が最後の砦となって水際で阻止できなければ日本という国や文化がなくなってしまう。そうならないために日夜訓練練成に励んでいる人たちがいる。
 この演習の目的は、隊員への教育と国民への理解をもとめることだが、たくさんの国の報道が入っていることにも気が付いた。実際に日本の侵略を考える国があった場合、日本は着上陸進攻への対処があるということを諸外国にアピールする場にもなっていると思う。そのためにも毎年素晴らしい演習をして各国のメディアで流して欲しいと思う。
 今回、一般の人たちの目に触れる場所で活躍された人たち以外に、この演習を行うために警備や交通整理、整地、食事などその他諸々のいわゆる裏方として参加された人たち。今回の演習ではなくても後方支援という大切な役目をする人たちがいる。その人たちのことも忘れないでおこう。
 総火演が終わりちょうど一週間たった今日、そのレポートもこの雑記を書いて終わりとなる。演習場も歩道橋やスタンドも取り壊されているのだろう。準備の段階から撤収までお疲れさまでした。また来年素晴らしい演習を見せていただきたいと思います。

 天候が心配された平成14年度の総合火力演習だが、総合予行以外は天候に恵まれた。ことに本番の8月31日は青い空に富士山がよく見えた。その富士山を背景に、二段山・三段山などに射撃がされる。その破壊力は凄まじいものだ。
 わたしたちの日本を守るために訓練練成している人たちがいる。その人たちが美しい富士山に向って射撃する。それはそれで仕方がないことだ。と思いつつ、富士山の女神「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」に、こころの中で聞いてみた。
「あなたはどう思われますか?」
無論応えがあるわけがない。ただ青い空に大らかな姿を見せているだけだった。
 わたしはその富士山に、このままずっとずっと実際の戦闘になることがないように。
 わたしたちの日本を守る人たちが、他国の領土・領海・領空でこの破壊力を使うことをしなくて済むように。
と、願いをかけ東富士演習場を後にした。

(おおたけともこ 2002年9月8日 早朝)